犬の里親になりたいけれど、条件が厳しそうで・・・。
私もボランティア活動をする前に一度断られて諦めた経験があります。
ですが、自分が保護団体に入ったことで、沢山の里親を待っている保護犬がいることを痛感し、
条件が合っていなくても、愛情と時間や経験、経済力などで保護犬の里親になれることも知りました。
まずは、保護犬の居場所で、里親募集をしている
- 保健所・動物愛護センター
- 動物保護団体
- 里親募集サイト
の特徴と注意点を徹底解説していきます。
保護犬の里親になるための基礎知識を身につけることは、失敗しないで里親になる為の近道です。
≪ 取得した資格≫
- 愛玩動物育養管理士
- JADP公認上級ペットケアアドバイザー
- JADP公認トリマー・ペットスタイリスト
- JADP公認ドッグセラピスト
犬との暮らし16年、 多頭飼い歴7年、
保護犬ボランティア歴7年。
自他ともに認める犬が大好きな過保護飼い主です。
Instagram(フォロアーさん1万人)では我が家の愛する娘🐶達との生活と最新情報を投稿しています。
※記事内に広告があります。広告の収益は看取りボランティア施設設立の資金にさせて頂きます。
保護犬の種類
保護犬は年齢、犬種、大きさ、性格、保護された経緯など多種多様な犬がいますが、
大きく分けると以下の二つに分けられます。
- 飼い主が分からない犬(野犬・野良犬など中型犬が多い)
- 誰かが手放した犬(一般の人、ブリーダー・ショップが手放した犬、多頭飼育崩壊により保護された犬)
飼い主が分からない犬は多くの場合捕獲され、保健所や動物愛護センター等で保護されます。
飼い主が分かっている犬は、保健所や動物愛護センターにはほとんどいません。
動物愛護管理法の改正による終生飼養(動物がその命を終えるまで適切に飼養すること)が明示され、保健所は安易な理由での引き取りを拒否出来るようになりました【2012年度版】
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2508b/full.pdf
環境省より(2021年にも更に動物愛護管理法の改正が行われております)
保護犬の里親募集をしている施設や団体の傾向と注意点
保健所・動物愛護センターで保護犬を探す場合の傾向と注意点
保健所・動物愛護センターは野犬・野良犬が多く、人に慣れていない中型犬が多い傾向があります。
保護施設では人に慣れてから里親を探します。
人に慣れていない犬は怯えて「吠える」「噛む」「逃亡する」等の心配があるので、人馴れしているかの確認は必須です。
全国の保健所や動物愛護センターのホームページをまとめました。
人馴れをしているか以外にも、下記の事を質問して、自分のライフスタイルに合った犬かどうかを確認しましょう。
- 犬種
- 年齢
- 性格
- トイレのしつけが出来ているか
- 散歩が出来るか
- 元居た場所
- 保護犬になった経緯
- 特別怖がるものがあるかどうか
- アレルギー等
保健所・動物愛護センターから保護犬を迎える場合、通常費用は掛かりませんが、狂犬病予防の徹底と、去勢・避妊手術を行うことが条件の施設が多いので、その費用は準備しておきましょう。
- 狂犬病予防注射⇒ 3,000円~4,000円(動物病院により異なる)
- 去勢手術⇒15,000円~30,000円(動物病院と犬の大きさにより異なる)
- 避妊手術⇒30,000円~80,000円(動物病院と犬の大きさにより異なる)
保護団体で保護犬を探す場合の傾向と注意点
保護団体は繫殖引退犬や何らかの事情で飼えなくなった犬など、小型の純血種の犬が多い傾向があります。
保護団体は全国でとても多く存在しますが、信頼の出来る、自分に適した保護犬がいる団体を探さなければなりません。
譲渡が決定すると、医療費や運搬費等1万円~3万円はかかるのが一般的ですが、一律8万円など高額な請求をしたり、保護施設を見せてくれない団体は避けた方が良いでしょう。
保健所・動物愛護センターに問い合わせをし、保護団体を紹介して頂くのが一番かと思います。
ご自身で探す場合の基準として
- ホームページがあるか
- 本拠地があるか
- 保護施設が見学できるか(保護施設内が清潔か)
- 一定の実績があり、評価されているか
等が挙げられます。
出来れば近くの保護団体で、何かあったらすぐに相談できる自分と相性のいいスタッフがいるかどうかも大切です。
保護団体により、保護している犬も多種多様です。
何件か問い合わせをし、
自分のライフスタイルに合った可愛い相棒を見つけてあげてください。
里親募集サイトで保護犬を探す場合の傾向と注意点
里親募集サイトには、『保健所・動物愛護センターに収容されている犬』『保護団体に保護されている犬』の他に『個人で里親を探している犬』等、多くの施設・団体から沢山の里親募集をしている人が集まっています。
どんな犬が、どの場所で里親募集をしているのか情報を見るのに適しています。
里親募集サイトから里親を探す場合は、譲渡が決定した後で高額な金額を請求される場合もあるので、譲渡先はしっかり調べる必要があります。
その他にも、各団体や個人発信のSNSも多くなってきましたが、個人発信の場合は犬の状態や費用などしっかり確認することをお勧めします。
保護犬の里親になる条件に満たしていなかったら
最近では条件の厳しさも見直す団体が増えて来ていますが、
どの施設、団体も保護犬に二度と辛い思いをさせない為の条件が必ずあります。
一例として、東京都、大阪府、北海道、沖縄県の条件をまとめました。
東京都愛玩動物相談センターの条件
・都内にお住まいで20歳以上60歳以下の方
・現在、犬や猫を飼育していない方
・家族に動物に対するアレルギーを持っている方がいない方
・飼うことを家族全員が賛成している方
・最期まで責任を持って飼い続けることができる方
・経済的、時間的に余裕がある方
・動物に不妊去勢手術による繁殖制限措置を確実に実施できる方
・集合住宅・賃貸住宅の場合は、規約等で動物の飼育が許されている方
・当センター主催の譲渡事前講習会を受講している方
大阪府動物愛護センターの対象者基準チェック表
・私(申込者)は、大阪府内在住です。
・私は、成人です。譲り受けた動物の飼育継続が困難になった場合は、責任をもって動物の世話を引き受けてくださる方がいます。
・営利又はこれに類する目的ではありません。
・大阪府又は大阪市が実施する譲渡講習等を受講できます。
・終生飼養できます。
・動物を適正に飼うための知識を持ち、動物の飼養に関する法令等を遵守できます。
・動物を適正に飼養するための必要な費用を負担できます。(飼い犬登録・狂犬病予防注射・エサ代・健康診断・ワクチン接種・治療費等、動物を飼うにはお金がかかります。)
・速やかに、不妊・去勢手術を受けさせることができます。
・飼養にあたり家族全員の同意が得られています。また、当該動物の飼養により、アレルギー等健康を損なう恐れのある同居者はいません。
・動物が飼えない場所への転居の予定はありません。
・日常的に家人が不在になりません。
・動物を適正に飼養できる環境です。(近所の方に迷惑をかけない場所です。)
・飼養場所は集合住宅や借家ですが、動物の飼養が承認されていることを、規約等の文書で提出することができます。
・譲渡申込み及び誓約書(様式第3号の1)の内容を理解し遵守できます。(必ず事前に確認してください。)
札幌市動物管理センターの譲渡対象者の要件
・福移支所まで動物を引取りに来ることができる
・18歳以上で同居家族全員が飼育に賛成している
・ 譲渡誓約書の遵守事項を理解し、遵守できる
・ 過去に当センターから譲渡を受けている場合、譲渡誓約書の遵守事項に違反してい
ない
【下記1~6に該当する場合、譲渡をお断りすることがあります。】
1 過去に当センターから、動物の飼養等に関する指導等を受けたことがある場合
2 ペット不可の住宅に居住している場合
3 申請者と同居家族が全員65歳以上の場合。ただし、飼育が困難になった場合に代わ
って飼育してくれる方(引受人)がいる場合は除く
4 経済的な事情から、犬猫を適正に飼養することが困難であると判断できる場合
5 犬猫が繁殖するおそれがある場合
(例:未避妊メス猫を飼育しており、未去勢オス猫の譲渡を希望する場合)
6 相応の理由なく、飼育している犬の登録及び狂犬病予防注射を実施していない場合
沖縄県動物愛護センターの譲渡パンフレットより
1.譲渡希望をされる前に
・犬を最後まで飼い続けることはできますか? 「看取る」覚悟はありますか?
・犬を飼うことに家族全員の同意がありますか?
・ ペットを飼える住宅にお住まいですか?
・経済的な問題はありませんか? 犬の生涯飼育には最低180万円かかると言われています。
・65歳以上の方、お一人暮らしの方は「もしもの時」の保証人(預かり先)がいらっしゃいますか?
*ご自身やご家族の入院等で犬の世話が出来なくなった時の預かり先
・保証人(預かり先)の条件があります。 ①60歳未満であること②ペットが飼える住宅にお住まいであること
・譲渡までにはセンターへ2〜3回来所していただく必要があります。時間的な余裕はありますか?
2. 譲渡に際して
・譲渡講習会を受講していただきます (約3時間)。
・譲渡講習会受講後、家庭訪問をし、飼育する環境を調査(事前環境調査)させていただきます。
・1頭の犬に複数名の希望がある場合は、犬の性格と希望者の環境の相性が最もよい方を選ばせ
ていただきますのでご了承ください。
・譲渡候補犬以外の犬の譲渡を希望される場合は、不妊去勢手術を実施していただける方。
・犬の登録、狂犬病予防接種(毎年)、ワクチン接種(毎年)、フィラリア予防(通年)を実施できる方。
・その他の条件等については「飼養環境事前確認書」(HPよりダウンロード可)をご確認ください。
事前(譲渡会前)にご記入いただき、ご持参いただきますと受付がスムーズです。
※ 上記以外にも飼養方法および飼養環境等について確認し、総合的に譲渡の可否を判断させてい
ただきます。
動物愛護センターでも都道府県により条件が違います。
保護団体はもう少し条件が少ないですね。
条件に合わなくても飼育経験や、在宅時間などで里親に選ばれる事もあります。
各施設・団体により条件は異なりますが、里親になる条件のポイントは下記に集約されます。
- 犬を最後まで責任をもって、愛情をもって育ててくれるか
- 経済的、時間的に余裕があるか
- ストレスなく飼育できる環境か
条件は一度辛い思いをした保護犬たちに二度と保護犬にならない為の大切な確認ですが、
保護施設・団体は保護犬の里親さんを必死で探しています。
応募の際に合わない条件と、
条件に合わないけれどカバーできるアピールポイントがある事を丁寧に連絡しましょう。
犬を飼った経験もアピールポイントになりますが、
犬を飼った経験がが無くても、資格を取ったりして知識がある事もアピールポイントになります。
まずは預かりボランティアをするという事もおススメですね。
里親になるまでの流れ
引き取りたい犬が決まったら、多くの場合は以下のような流れをたどります。
- 譲渡希望を出す
- 条件の確認をし、メールや面談などの日程を決める
- 保護犬との対面、保護団体・施設と面談(保護団体・施設が里親希望者宅を訪問する事もあります)
- 両者が検討
- 両者が合意したら一緒に暮らすトライアル期間(2週間程度)に入る
- 問題がなければ正式譲渡
お金を払えばその場で犬を連れて帰れるペットショップとは違って、応募してから正式譲渡までは多くの手続きがあり、時間もかかります。
自分に合った保護犬を選ぶ
自分に合った保護犬を選ぶには、ライフスタイルと住宅環境を考えなければいけません。
忙しく散歩の時間があまり取れないようなら、小型犬で運動量の少ない犬を選びましょう。
マンションや住宅地などでは、穏やかであまり吠えない犬が良いでしょう。
ですが、沢山の人馴れをしていない中型犬が第二の家庭を探しています。
時間や環境が許すようならぜひ、中型犬を迎えてあげて下さい。
子犬の小型犬は人気がありますが、しつけに費やす時間とお金に余裕がある人、飼育経験がある人が対象となるでしょう。
個人的にも忙しい人や初めて犬を飼う人にはお勧めしません。
子犬を育てるのは想像以上に大変です。
保護犬を迎える前の心の準備
保護犬は人間の事情で心が傷ついていることが多いです。
懐くまでに時間がかかるかもしれません。
自分に合わない癖があるかもしれません。
環境が変化したストレスで体調を崩すこともあります。高額な治療費が必要な場合もあります。
たくさん想像して、家族と相談をし、無理なく迎えられるか考えましょう。
「ペットにかける年間支出調査」2021年度版
保護施設や犬の状況により異なりますが、多くの場合は狂犬病予防や避妊・去勢手術が必須となる以外にも、ある程度の飼育費は計算をしておきましょう。
小型犬 | 中型犬 | 大型犬 | |
---|---|---|---|
ケガや病気の治療費 | 57,727円 | 44,063円 | 68,671 |
フード・おやつ | 58,014円 | 76,648円 | 131,164円 |
サプリメント | 12,822円 | 10,842円 | 16,629円 |
しつけ・トレーニング料 | 7,463円 | 2,099円 | 37,797円 |
トリミング料 | 55,768円 | 34,509円 | 54,914円 |
ワクチン・健康診断など予防費 | 32,335円 | 34,509円 | 54,914円 |
ペットホテル・ペットシッター | 4,715円 | 5,133円 | 5,089円 |
日用品 | 14,143円 | 14,320円 | 16,287円 |
洋服 | 13,667円 | 7,623円 | 11,448円 |
ドックランなど遊べる施設 | 2,325円 | 2,646円 | 7,820円 |
首輪・リード | 6,298円 | 7,951円 | 11,419円 |
防災用品 | 679円 | 991円 | 1,181円 |
交通費 | 10,093円 | 10,823円 | 40,458円 |
光熱費 | 11,825円 | 14,661円 | 21,145円 |
合 計 | 287,874円 | 266,818円 | 479,936円 |
1ヵ月に換算 | 23,989円 | 22,234円 | 39,994円 |
中型犬が一番お金が掛かってませんね。
まとめ
どの施設、団体も保護犬に二度と辛い思いをさせない為の条件が必ずあります。
条件に合わなくても飼育経験や、在宅時間などで里親に選ばれる事もありますので直ぐに諦めないでください。
保護犬の里親募集をしている団体・施設ごとの特徴と注意点を踏まえて自分に合った保護犬を探しましょう。
- 保健所・動物愛護センター ⇒ 行政が運営しているので無料で安心だが、人馴れをしていない中型犬が多い
- 動物保護団体 ⇒ 純血の小型犬も多く保護されているが、保護団体を選ぶ所から始めるのがおすすめ
- 里親募集サイト ⇒ 情報収集には良いが、個人でのやり取りは十分注意が必要。
後悔しないように、出来るだけ多くの情報を集め、ご自身のライフスタイルに合った可愛い相棒を見つけてあげてくださいね。