すぐに動物病院へ行くべきサイン
老犬の下痢で最初に判断したいのは、家で様子を見ていい状態か、すぐ受診すべき状態かです。
便の見た目で緊急度が変わります。
軟便で形が残っていて元気があるなら、まずは様子を見て構いません。
半日の絶食と水分補給で、1日のうちに戻れば問題は少ないと考えられます。
水様便のときは脱水に注意してください。
半日以上続く場合、または下痢が24時間以上続く場合は受診します。
血便(鮮血が混ざる)は大腸の炎症や腫瘍の可能性があり、当日中の受診が必要です。
黒いタール状の便は上部消化管からの出血を示し、胃腸の重い疾患が疑われます。
白っぽい便は肝臓や胆嚢のトラブルの可能性があります。
この3つはいずれも様子を見ずにすぐ受診してください。
便の状態以外では、嘔吐や発熱を伴う場合、元気がなく水も飲まない場合も自己判断せずに受診してください。
老犬でいちばん怖いのは脱水です。
背中側の皮膚をつまんで離したときに戻りが遅い(2秒以上かかる)、歯茎が乾いている、目がくぼんでいる、元気がない。
これらのいずれかが見られたら脱水しているので、すぐ受診してください。
自分で水を飲まない場合は、動物病院で輸液を相談するのが確実です。
受診するときは、便の状態を写真に撮るか便そのものを持参してください。
食べたものと環境の変化をメモしておくと、診察がスムーズに進みます。
老犬の下痢が起こる主な原因
老犬の消化機能は若い頃より衰えているため、ちょっとした変化でも下痢を起こしやすくなります。
原因は大きく3つに分けられます。
食事の変化や消化不良
フードを急に変えると腸内環境が乱れて下痢につながります。
脂肪分の多い食べ物は消化しにくく、これも下痢の原因になります。
古くなった食材や体に合わない食材を食べたことによるアレルギー反応も考えられます。
ストレスや環境の変化
引っ越しや家族構成の変化で環境が変わると、自律神経が乱れて下痢になりやすくなります。
長時間の留守番による不安、新しい犬やペットとの同居で生じる縄張り意識や不安感も腸の働きに影響します。
病気や加齢による腸の不調
腸炎や大腸炎はウイルスや細菌の感染で起こります。
膵炎や肝疾患では消化酵素の分泌が不足して下痢を引き起こします。
腸に腫瘍やポリープがあると下痢が長引くこともあります。
下痢が続く、繰り返す場合は、これらの病気が隠れていないか動物病院で調べてもらってください。
軽症のときの自宅ケアの手順
軟便で元気があり、上のような危険なサインが出ていない場合は、まず自宅でのケアを試します。
絶食は半日までにする
消化管を休ませるために食事を止めますが、老犬の場合は半日(12時間)程度までにしてください。
12時間を超える絶食は低血糖や体力の低下につながるため、続けるかどうかは獣医師に相談してから決めます。
絶食の間も水分は少量ずつこまめに与えてください。
水分補給で脱水を防ぐ
常温の水か白湯を、一度にたくさんではなく少量ずつこまめに与えます。
冷たい水は胃腸に負担をかけるので避けてください。
水だけでは飲まない場合、犬用の経口補水液や犬用のヤギミルクを使う方法があります。
人間用の経口補水液は電解質や糖分の量が犬に合わせて作られていないため、使う場合は必ず獣医師に相談してください。
自分で飲まない子には、シリンジで口の横から少しずつ流し込む方法もありますが、それでも飲めないときは動物病院で輸液をお願いするのが安全です。
回復食は消化のよいものから戻す
食事を再開するときは、おかゆや茹でた鶏肉など消化のよいものから始めます。
かぼちゃやさつまいもを少量加えると食物繊維も補えます。
ふだんのフードに戻すのは、便が形を取り戻してからにしてください。
整腸剤は犬用のものを獣医師の指示で使う
腸内環境を整える目的で、犬用の整腸剤(プロバイオティクス)や乳酸菌入りのフードを使う方法があります。
製品と量は動物病院で相談してから決めてください。
人間用の下痢止めは犬に使ってはいけません。
原因が分からないまま下痢止めだけを使うと、感染や中毒の発見が遅れます。
人間用の整腸剤も犬向けに作られていないため、自己判断で与えず獣医師に確認してください。
記録をつける
便の写真、食べたもの、時間をメモしておくと、受診が必要になったときに診察がスムーズになります。
下痢を繰り返さないための対策
一度治まっても、原因が残っていれば再発します。
食事の管理・腸内環境・生活習慣の3つを見直してください。
フードの切り替えは10日かけて行う
新しいフードに変えるときは、10日ほどかけて少しずつ移行します。
1日目は新しいフードを1割・元のフードを9割にして、便の状態を見ながら日ごとに新しいフードの割合を増やしていきます。
最初から新しいフードを多くすると急な切り替えと同じになり、下痢を招きます。
選ぶときは低脂肪で消化しやすいものが向いています。
1日の食事を3〜4回に分けると、1回あたりの胃腸の負担が軽くなります。
腸内環境を整える
オリゴ糖を含むさつまいもやバナナを少量加えると腸内環境を助けます。
ヨーグルトなどの発酵食品は乳酸菌を含みますが、犬は乳糖を分解する力が弱い子が多く、乳製品で下痢が悪化することがあります。
与えるなら少量から試し、便がゆるくなるようなら中止してください。
納豆も体質に合わない場合があるため、初めて与えるときは少量にします。
ストレスを減らして生活リズムを整える
毎日決まった時間に食事と散歩をして、生活リズムを保ちます。
温度管理と静かな寝床を用意して、落ち着いて休める環境を整えてください。
老犬の下痢のよくある質問
- 下痢のときは絶食した方がいいですか?
- 軟便で元気があるなら、半日(12時間)程度の絶食で消化管を休ませる方法があります。
ただし老犬や子犬は低血糖のリスクがあるため、12時間を超える絶食は獣医師に相談してください。
絶食の間も水分は少量ずつ与えます。 - 下痢止め薬は市販品を使っていいですか?
- 人間用の下痢止めは使わないでください。
犬用の整腸剤も、製品と量を獣医師に相談してから使ってください。
原因が分からないまま下痢止めだけを使うと、感染や中毒の発見が遅れます。 - 脱水しているかどうかを見分ける方法はありますか?
- 背中側の皮膚をつまんで離したときに戻りが遅い(2秒以上)、歯茎が乾いている、目がくぼんでいる、元気がない。
これらのいずれかが見られたら脱水しています。
すぐに受診してください。 - フードを変えたら下痢になりました。どうすればいいですか?
- いったん元のフードに戻すか、10日ほどかけてゆっくり移行し直してください。
1日目は新しいフードを1割・元のフードを9割から始め、便の状態を見ながら日ごとに新しいフードの割合を増やします。
老犬は腸内環境が変わりやすいので、急な切り替えは避けてください。
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