ブラッシングは、抜け毛と毛玉を防ぎながら、皮膚やしこりの変化に気づくきっかけになります。
頻度、ブラシの選び方、手順、被毛タイプ別のコツ、嫌がるときの進め方をまとめました。
ブラッシングをする5つの理由

1つめは、抜け毛と汚れを取り除いて毛並みを保つことです。
室内に落ちる毛も減らせます。
2つめは、毛玉を防ぐことです。
毛玉は皮膚を引っ張って痛みの原因になり、大きくなると自宅では取れなくなります。
3つめは、皮膚と体を直接さわることで、赤み・はれ・フケ・しこり・傷などの変化に早く気づけることです。
4つめは、ノミやダニを見つけるきっかけになることです。
ただし、ブラッシングでノミ・ダニを駆除することはできません。
見つけたら動物病院で相談し、処方された駆虫薬を使ってください。
市販品や自己流のケアだけで済ませると、寄生虫が残ったまま増えることがあります。
5つめは、体をさわられることに慣れることです。
日ごろから全身をさわられている犬は、動物病院やトリミングでの負担が軽くなります。
頻度とタイミング
毎日が理想ですが、難しい場合は週2〜3回を目安にしてください。
一度に長くやるより、短い時間でも続けるほうが毛玉ができにくくなります。
タイミングは、散歩のあとのクールダウン中や、家でリラックスしているときが向いています。
興奮しているときや、食後すぐは避けます。
春と秋の換毛期は抜け毛が大幅に増えるため、特にダブルコートの犬種では回数を増やすと室内の毛も減らせます。
ブラシの種類と選び方

スリッカーブラシは、毛玉や抜け毛を取り除く定番で全犬種に使えます。
細い金属のピンが並んでいるため、皮膚に垂直に押し付けず、寝かせて当ててください。
力を入れると皮膚を傷つけます。
ラバーブラシはゴム製で、短毛の犬の抜け毛を絡め取ります。
当たりがやわらかいので、ブラシを怖がる犬の練習にも向いています。
グローブ型のブラシは手にはめて使うため、なでる動作のままお手入れができます。
毛量が多い犬や、道具を見ると逃げてしまう犬に向いています。
アンダーコートブラシは、柴犬やコーギーなどダブルコートの犬の下毛を取るためのものです。
同じ場所をかけ続けると毛が薄くなるので、取れ具合を見ながら使います。
ピンブラシとコームは、長毛の犬の毛流れを整える仕上げ用です。
獣毛ブラシは最後に全体の艶を出すために使います。
1本ですべてをまかなうのは難しいため、「毛玉をほぐす→全体をとかす→仕上げる」の3工程に合わせて2〜3種類そろえると迷いません。
ブラシごとの詳しい選び方と、嫌がる犬への慣らし方は次の記事にまとめています。

ブラッシングの手順5ステップ
1つめは、始める前の準備です。
声をかけながらブラシの匂いを嗅がせ、道具に慣れさせてから始めます。
お気に入りのおもちゃを近くに置くと落ち着きやすくなります。
2つめは、背中や腰から始めることです。
ここは抵抗が少ない場所です。
お腹・足先・顔まわりはデリケートなので、慣れてきてから最後に回します。
3つめは、毛玉のほぐし方です。
無理に引っ張ると皮膚が裂けることがあるため、毛先から少しずつほぐします。
どうしても取れない毛玉は、皮膚を切らないよう先の丸いハサミで切るか、根元まで固まっている場合はトリマーか動物病院に任せてください。
4つめは、仕上げです。
コームで毛流れを整えたあと、獣毛ブラシで全体をなでて艶を出します。
最後に手のひらで全身をさわり、毛玉やもつれが残っていないか確かめます。
5つめは、終わったあとです。
声をかけて褒め、おやつを渡します。
「終わるといいことがある」と覚えると、次から受け入れやすくなります。
被毛タイプ別のコツ

短毛のシングルコートは、ラバーブラシで抜け毛を取ってから獣毛ブラシで艶を出します。
毛は短くても皮膚をさわる機会になるので、回数を減らす必要はありません。
長毛のシングルコートは、スリッカーブラシで毛玉を取り、コームで毛流れを整えてから獣毛ブラシで仕上げます。
耳の後ろ、脇の下、内ももは毛玉ができやすい場所です。
短毛のダブルコートは、アンダーコートブラシで下毛を取ってから獣毛ブラシをかけます。
換毛期は下毛が一気に抜けるため、この工程が中心になります。
長毛のダブルコートは、まず毛玉をほぐし、次にアンダーコートを処理してから獣毛ブラシで仕上げます。
4タイプの中で最も時間がかかるので、一度で全身を終えようとせず日によって部位を分けても構いません。
自分の犬がどのタイプかは、犬種によって決まります。
抜け毛の量と被毛のタイプは次の記事で犬種別にまとめています。

ブラッシング中に見る健康チェック4点

1つめは皮膚の状態です。
赤み・はれ・フケ・かさぶたがないかを見ます。
耳の裏、脇の下、足の指の間は見えにくいので、毛を分けて確認してください。
2つめはノミ・ダニとしこりです。
毛の根元に黒い粒があればノミのフンのことがあります。
小さな動くものやしこりを見つけたら、そのままにせず動物病院で診てもらってください。
3つめは毛の変化です。
換毛期でないのに抜け毛が急に増えた、艶がなくなった、べたつくといった変化は、体調や栄養状態が関わっていることがあります。
4つめは犬の反応です。
特定の場所だけ痛がる、さわられるのを嫌がるようになった場合、そこに痛みや炎症がある可能性があります。
こうした変化に気づいたら、無理にブラッシングを続けず動物病院で相談してください。
ブラッシングは治療ではなく、あくまで変化に気づくための時間です。
嫌がるときの進め方

まず時間を短くします。
最初は5分以内から始め、慣れてきたら10分程度まで延ばします。
全身を一度で終える必要はありません。
押さえつけたり叱ったりしないでください。
動きたがったら一度休憩し、落ち着いてから再開します。
嫌な記憶が残ると、次からもっと抵抗するようになります。
力加減は、赤ちゃんをなでるくらいの弱さから始めます。
ブラシもやわらかいラバーやグローブ型など、当たりの軽いものから慣らします。
短時間でもできたら必ず褒めて、おやつを渡します。
苦手な部位(顔まわりや足先など)は後回しにして構いません。
どうしても難しい場合は、トリマーに任せるのも選択肢です。
今まで平気だったのに急に嫌がるようになったときは、慣れの問題ではなく痛みや皮膚の病気が原因のことがあります。
その場合はトレーニングで解決しようとせず、先に動物病院で診てもらってください。
よくある質問
- 毎日ブラッシングしないといけませんか?
- 毎日が理想ですが、週2〜3回でも十分に効果があります。
一度に長くやるより、短い時間を続けるほうが毛玉ができにくくなります。
短毛の犬でも、皮膚の状態を確認する時間として続ける意味があります。 - 換毛期はどうすればよいですか?
- 春と秋はダブルコートの犬の下毛が一気に抜けるため、回数を増やしてください。
アンダーコートブラシを使うと下毛が効率よく取れます。
ただし同じ場所をかけ続けると毛が薄くなるので、取れ具合を見ながら加減します。 - 毛玉が取れないときはどうすればよいですか?
- 無理に引っ張らないでください。
皮膚が引き伸ばされて裂けることがあります。
毛先から少しずつほぐし、それでも取れない場合や根元まで固まっている場合は、トリマーか動物病院に任せてください。 - 急にブラッシングを嫌がるようになりました。
- 痛みや皮膚の病気が原因のことがあります。
どの場所をさわると嫌がるかを確かめて、動物病院で相談してください。
慣らそうとして続けると、痛みを我慢させることになります。
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